「痛み」の分野は私が学生の頃とはづいぶん変わりました。
1990年代の前半、ぼくが学生の頃は「痛み」は部分が影響しているということしか学びませんでした。例えば、腰痛なら腰の骨の何番が変形しているのが原因だとか、ヘルニアによる神経圧迫や、どこどこの筋肉が緊張して痛みが出ているなどなど。そのようなことしか学ぶことはありませんでした。
しかし、医学というものは日々研究が進み変わるものです。今では「痛み」の分野も昔と変わりました。
明治国際医療大学 教授の伊藤先生の本も昨年、第二版がでました。2011年から7年で大きく「痛み」分野の考えが変わったからです。この本、「基本としくみ」と書かれて医学ぽくない表紙ですが、内容はなかなか硬派です。一般の方には難しいと思います。
ページ数も、これだけ増えました。下が第二版です。
分かりにくいですが、34ページ増え、内容も少し変わっています。
この本の最初にこのようなかおとが書かれています。
以下「痛み・鎮痛の基本のしくみ」第2版 伊藤和憲 から抜粋
「痛み」は人間にとってとても大切な感覚です。病院を受診する動機で一番多い症状は「痛み」であり、身体の異常を知る最初のきっかけとなります。
そのため、人は痛みがあると、それから逃れようとさまざまな対処を行います。
リウマチであれ線維筋痛症であれ、癌の痛みであれ、腰の痛みであれ、相手に自分の痛みを伝えることは難しいことです。
痛みを伴う疾患であれば、「痛み」とはどのようなものなのかを理解しなければなりません。
いつも、患者さんたちには話しているこちょですが、「痛み」があるのなら、自分の「立場」「環境」「心理状態」「性格」は最低考えなければ、よくなりません。
こういう話をしても理解して頂ける方と、してくれないかたと分かれます。ぼくのブログを読んでくれている方であれば、最初。理解しできなくても、理解しょうとしてくれるのですが、紹介していただいた患者の場合、「何言ってんの!?」という感じになってしまいます。
理解しようとしない方は、「薬がなんとかしてくれる」「鍼治療なら何とかしてくれる」「西洋医学がだめなら、東洋で」という思考になっいていることが多いです。薬が効かない、痛みが取れない、その背景を見たり、自分自身を俯瞰してみなければ、どんな病でもよくなることはありません。
それと同時に、治療法も痛みの原因だけを対処するような方法では足りず、思考や食事など痛みの原因とは直接関係ない ような因子に目を向けていくことが大切であるという認識に変化しています。そのため、痛み治療ではセルフケアやセル フマネージメントの重要性が盛んに叫ばれるようになっています。
痛み研究や臨床は日進月歩であるため、 新しい情報を常にアップグレードしていくしかありません。
「痛み研究の中心は脳へと移行」あまり知られていませんが、痛みは今では脳が関係すると言われ手います。そのため、痛みには「情動」が大きく影響すます。情動とは、怒り、悲しみ、恐れ、不安といった感情です。不安があれば痛みは強く感じるようになるし、いいことがあれば、痛みは軽減します。
また、脳はホルモンの分泌も関係します。4ヶ月以上経過した痛みは、慢性期に入っているため、薬を飲んだり、暖めたり、マッサージをしてもよくなることがありません。
身体の状態、精神状態に合わせた治療が必要となります。
ポイントは自律神経と三叉神経の調整と血流になります。ぼくの鍼灸院には他の院から移ってくる方が多いのですが、古典的な鍼治療を行った結果、よくならないという方が目立ちます。
鍼をすれないいというわけではなく、状態に合わせて適切な刺激を適切なポイントに鍼治療を行うことが必要です。ちゃんと鍼治療を行えば効かなかった薬が効き出したり、関節が動くようになります。そして3ヶ月もすれば、血液検査のデータもよくなる方が多いです。
日曜日は、朝から夕方まで、この本の著者の伊藤先生の勉強会があります。もう、7年前から参加していますが、当時と今では考えも治療も変わりました。最新の考えと最新の医学的根拠に基づいた治療を、来院していただいている方たちには行っていきます。
「痛み」の分野の最新のお話もさせていただきます。通院していただいている方はお楽しみに。