生物学的製剤が効かない、妊娠希望のリウマチの患者

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患者

30代 女性 パート勤務

来院理由と症状

2014年 5月来院

リウマチは2010年に確定。

メトトレキサート(リウマトレックス)を使用していたが、2012年より妊娠希望のため生物学的製剤(エンブレム)開始。

症状は安定し痛み止めも必要がなく過ごしていたが、パートの仕事での無理もあり、2013年より手関節、足関節に痛み腫れが出現し体調もすぐれない状態が続く。

2014年の1月からは、エンブレムを週に2回に増やし、痛み止めとステロイドを2ミリ使用するが、症状は悪化するばかりでした。

そのような状態で悩んでいる時に、たまたま当院のブログを見つけ、腑に落ちることが多い内容だったため来院を決めたとのこと。

手関節、膝関節、足関節の腫れは強く歩行困難。

CRPのデーター掲載なし

MMP-3 314,7

レントゲンは初診時に手関節の撮影のみ。これ以降、画像診断なし。

診察、治療のやり方に患者自身も疑問に感じていたため転院。新しい病院の医師は、「CRPを出していない血液検査はおかしい」「この状態でレントゲン撮影していないのはおかしい」とのこと。

転院した病院の検察で炎症反応が判明。
CRP 3,20

レントゲン撮影の結果は手関節のみ破壊、関節の隙間が狭くなっていた。

ステロイド5ミリ、セレコッスが追加。

治療と経過

手足の関節に鍼治療。関節の腫れが強い箇所には浅鍼で行う。痛みが長期間続いていたため交感神経の亢進があるため、抗重力筋の緊張が強い箇所に鍼治療を行い、全身の改善を目指す。

関節周囲の靱帯をゆるめ、関節の可動域を広げる。

最初の1ヶ月は週に1回の鍼治療。
2ヶ月後からは2週間に1回。
3ヶ月後からは月に1回。
鍼治療をして痛みと腫れが少しづつ軽減。

2ヶ月経過
CRP 0.16

3ヶ月後 
CRP 0,03

プレドニンを5ミリから2,5ミリに減薬。

手足の関節の痛み、腫れはない。
医師からも症状が安定していると言われた。

5ヶ月後
CRP 0,02
MMP-3 168,3

その後、妊娠希望ということで不妊鍼灸に切り替える。
無事、妊娠。

初診から1年6ヶ月後
CRP 0,02
MMP-3 50,7

この頃は数ヶ月に1回の来院。

考察

CRPが高いと妊娠ができにくい状態になる。リウマチで妊娠を希望されている方は、まずは、リウマチの状態をよくする必要がある。

また、メトトレキサート(リウマトレックス)を妊娠を希望されている方は飲むことができないため、生物学的製剤の使用になる。

片道電車で1時間半の遠方だったが、こちらがアドバイスしたこと計画通りに通院してくれて、こちらのアドアイスも素直に聞いてくれたのが、リウマチがよくなった理由の1つではないか。

薬が効かない方は、体が薬が効かない状態、体質になっている場合が多い。鍼治療で整えることで、リウマチの薬が効きやすい状態になる。

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この記事を書いた人

学生時代から京都、大阪の鍼灸整骨院にて4年間修行。
医療法人孝至会みのりクリニック内の東洋医学・リハビリ科にて10年間勤務。医師と協力して延べ3万人に鍼灸施術を行う。
主任を経て大阪府江坂駅前にて鍼灸治療院を開院。

【資格】
・国家資格 (はり師・きゅう師)
・「機能再生士」認定
・日本メンタルヘルス協会
認定基礎心理カウンセラー取得
・日本メンタルヘルス協会
公認心理カウンセラー資格取得

【所属団体】
・一般社団法人 全国鍼灸マッサージ協会 会員

【講演活動】

2015年 関西医療大学にて『「関節リウマチに対する鍼灸治療~メカニズムとエビデンス』講演 
(東京大学医学付属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任の粕谷先生と合同)
2015年 明治東洋医学院にて『薬を否定せずに行うリウマチ鍼灸』講演
2017年 平成医療学園にて現場力ステップセミナー主催 『関節リウマチ臨床鍼灸』講演
2017年 (一社)日本生殖鍼灸標準化機関(JISRAM)にて『リウマチについて』講義2021年大阪医療技術学園 痛みの鍼灸 授業・実技を担当

2014年~ 一般向け講座『痛み・リウマチ克服セミナー』主催

【掲載】
2015年 医道の日本誌 専門鍼灸記事 掲載
2015年 明治東洋医学院 入学パンフレット 活躍するOB 取材
2016年 医道の日本誌4月号『関節リウマチ鍼灸』論文掲載

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