患者
60代 女性
来院理由と症状
2011年リウマチと診断される。
生物学的製剤を使用し血液検査のデーターは問題がないが、
人差し指と手首の関節のこわばりや痛みが取れないため来院される。
2014年からヒミュラ→エンブレム
MTX6mg 服用
CRP 0,04mg/dL
MMP-3 不明
手に力が入らないとのことなので、握力検査を行う。
右15 左13
治療と経過
血液検査のデーターに問題がないため、
週に1回の鍼治療を2ヶ月間続けて様子を見ることにした。
全体的に緊張、こわばりが強いため抗重力筋を中心に鍼治療を行い、
同時に手関節、手指に関連した筋肉や靱帯を鍼治療で緩める。
リウマチに対して恐怖心が強いため正しい知識を教える。
血液検査のデーターは問題ないため関節は多少痛くても動かすように指導。
4回の鍼治療後から手関節の動きがスムーズになり、
手指の曲げ伸ばしも痛みがなく行うことができるようになった。
関節の痛みを感じないため、体の緊張が和らぐ。
7回の鍼治療後からは、症状が安定したため、
1ヶ月に1回の治療で様子を診ていくことにする。
腰痛(筋筋膜性腰痛症)膝痛(変形性膝関節症(軽度)もあったので、同時に鍼治療を行う。
考察
パーソナル的なことも影響して、過剰にリウマチを怖がっていたことで痛みを強く感じていたと思われる。
そのため、痛みを少しでも感じるとリウマチが悪化していると思い使える手指や手関節を動かさなかった結果、関節がこわばった状態になった。
不安や恐怖があると痛みを増強することは知られていることだ。また、痛みが続けば慢性化し感情と共に痛みは悪化する。
この反応は「条件恐怖反応」と呼ばれ、扁桃体など大脳辺縁系が大きく関与していることがわかっている。
詳しく書くと専門的な話になるため省略するが、扁桃体は侵害情報によって誘発される情動学習である、条件恐怖反応の獲得に中心的な部分であることが影響する。
リウマチに対しての過剰な恐怖感によって「条件恐怖反応」が起こり、さらにパーソナル面が加わったことで血液反応以上に痛みを感じていたと思われる。
2019年10月現在、すべての関節は問題なく動かすことができ、リウマチによる痛みも出ていない。