「動いてはいけない」
「幼稚園の子供の送り迎えは、誰かに頼みなさい」
「買い物にも行くな、宅配サービスで注文しなさい」
「外出せず、家でじっとしていなさい」
こう主治医に言われた方が来院されました。
生物学的製剤を使用し、リウマトレックスは16ミリ(8錠)、ステロイドを10ミリ服用してもリウマチの痛みがまったく取れない。
手首の関節は腫れ、膝は炎症し水が溜まっている状態が数ヶ月続いておられます。生物学的製剤も使用していますが効果がありません。
リウマトレックスが効かない体質?
「私は、生物学的製剤、リウマトレックスが効かない体質なんです」
このように考える方も多いのではないでしょうか。このようなケースの場合、なぜ薬が効かないのかを考えなければいけません。
使用されている薬の量は以下になります。
・MTX (メトトレキサート、リウマトレックス、メトレート) 16㎎(8錠)
・プレドニン 8㎎
・生物学的製剤 ヒミュラ
通常、これほど薬を使用すれば、効果があるのですが、
腫れも痛みにも効果が感じませんとおしゃられる。
そこで、主治医は薬が効かな原因は患者の生活習慣に問題があると思い、
「動くな、外出するな、じっとしていろ」と言い出したわけです。
幼稚園のお子さんがいるのに、家でじっとしていろというのは、どうなんでしょうか。
来院時の状態です。
・RF 205
・CRP 2,33
・MMP-3 275,3
数値は高いのですが、腫れは強くないので、私は動かすように指導しました。関節を動かさなければ、悪くなり固まってしまい可動域の制限も起こります。
鍼治療で、自律神経を整えて、関節の周りの筋肉や靭帯を和らげる治療を行い、関節運動のセルフケアも指導。
そして、膝の水も抜いてもらい、ステロイド注射をしてもらうよう話をしました。
私は鍼灸師ですが、薬は否定しません。薬を何でも否定する同業の先生が時々おられますが、医学には守備範囲があると考えています。
針灸治療が効かない症状もありますし、薬などの西洋医学ではどうしょうもないことも当然あります。
さて、膝の水を抜き、ストロイド注射を主治医にお願いするが、「水は家でじっとしていれば、薬が効いて腫れもよくなり自然になくなる」「ステロイドは関節を溶かす」と医師は言って、やってくれませんでした。
確かにストロイド注射を何回もするのはいけませんが、3か月の間に1回、2回程度なら問題はありません。
また、膝関節のような大きな関節が、数回のステロイド注射で溶けることもありません。
むしろ、長い期間、膝の水を抜かずに置いておく方が危険なことです。MTXも服用しているわけですから、なおさらです。
鍼治療をしてから歩けるようにもなったし、家族も驚くほど自由に動けるようになったのですが、あと、一歩よくなりません。
また、痛みも症状も軽減したのにも関わらず、血液検査のデーターがよくありません。
これには、ちゃんと理由があります。原因は膝の水です。
鍼治療スタート後のデーター
・RF 17,8
・CRP 4,27
・MMP-3 253,4
CRP 2,17 → 4,17
日常生活の中で、痛みを感じることも少なくなっています。
数値が高いのは、膝が腫れ、水が溜まった状態だからです。
通常、運動量が増えれば、膝の水も血液の循環改善とともに流れていくのですが、変化がないのは、かなり状態が悪いということです。
他の病院を探してもらい、早く膝の水を抜いてもらうようにアドバイス。その日のうちに整形外科でリウマチ専門の病院を探して行かれました。
膝の水は抜くこと、長期間そのままではいけない
その整形外科医の医師は、「こんなん、おいていたら、イカンやろ!!」「水を抜かな、腐るで!」
そう言って膝の水を抜き、ステロイド注射をしてくれました。
抜いた水を見せてもらったそうですが、かなり濁った色をしていたとのことです。
「膝の水は抜かない方がいい」こいう医師もいるのですが、確かに水を抜いても膝の炎症が取れない限りまた水は溜まります。
しかし、数ヶ月にわたって水をそのままにしておくのはいいとはいえません。
膝の水を抜いてくれた開業医の整形外科の医師はこのようい言いました。
「水を抜くことは、基本的なことやで」と、言っていたそうです。
リウマチ専門医の多くは、内科医が多いため、患者が膝が痛いと言っても、膝を触って腫れや関節の動きなどを診る医者は少ないような気がします。
膝の状態は、整形外科医の方がしっかり診てくれることが多いです。
患者からすれば、当然痛い「膝」をしっかり診てくれると思いがちですが、リウマチ専門の医者は、「膝」という部分で診るのではなく、「免疫のシステム」という全体で診ていきます。
つまり、血液検査のデータでの判断です。
リウマトレックス、生物学的製剤が効かない原因
生物学的製剤は高価な薬なので、使用すれば誰でも効果があると思う方も多いでしょう。
リウマトレックスも同じです。
飲む量を最大数の8錠(16ミリ)にすれば、誰でも効果があると思っている方も多いでしょう。
しかし、両方使用しても効果が出ない方が私の鍼灸院には、ちょくちょく来られます。
結局、この方は膝の水を抜きステロイド注射をしてから1ヶ月近く経過しますが、日に日によくなっていきました。
歩行も困難な状態で洋服も1人で着ることができない日もありましたが、リウマトレッ鍼治療を取り入れてから、日常生活は問題なく生活ができるようになり、伊勢神宮に行けるほどに回復されました。
久しぶりに会った妹さんは驚かれたとのことです。
もう歩けなくなるのでは?と思われたようです。
「ステロイド注射が効いているだけでは!?」
こう思う方もいると思いますが、いくらステロイドでも、1ヶ月近く効果を維持するほど効くことはありません。
体内からステロイドが抜けるののは1週間程度です。
1回の注射で1か月も薬品が持てば、逆に怖いです。
痛みは3ヶ月以上経過すれば慢性化します。
痛みを脳が記憶してしまうのです。
また、痛みが続けば、脳内のセロトニン量が低下し痛みに対して敏感になってしまいます。(セロトニンは脳内にある「天然の痛み止め」と理解してください)
そうなると、自律神経の交感神経が緊張状態になり関節はこわばり血流は低下し、ますますリウマチは悪化します。
こんな状態で自然治癒能力など発動しません。
今回、リウマトレックスと生物学的製剤が効かない方は、膝の水が薬の効果を妨げていたのです。
水の流れをせき止めれば水は淀んで濁り、底にはヘドロが堆積します。
膝の水を抜かずに何ヶ月も放置することは、このようなことと同じことです。
流れを作れば、水はきれいになります。
体も同じです。
関節の水を抜けば体の血液の流れもよくなり、筋肉、関節周囲の靭帯も緩み、関節の動きはよくなります。
そこに鍼治療をプラスすることでステロイドが切れた後でも、ベストな状態を保つことができ鍼治療の一番得意分野である、自律神経のバランスの調整ができ、薬を減薬させることができるのです。
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