関節リウマチは、免疫の異常によって関節に慢性的な炎症が起こる自己免疫疾患です。朝のこわばり、痛み、腫れ、日常動作の制限など、生活の質(QOL)を大きく低下させる原因となります。
一般的には、抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤などを用いた薬物治療が主流ですが、近年、「鍼灸治療が補完的なアプローチとして有効である」ことが科学的に証明されつつあります。
本記事では、リウマチに対する鍼灸の効果とその根拠について、最新の研究や実例をもとに詳しく解説します。

リウマチ治療における鍼灸の役割とは?
鍼灸治療は、身体の特定のツボ(経穴)を刺激することで、自然治癒力を高め、痛みや炎症、自律神経のバランスを整える効果が期待される東洋医学の代表的な療法です。
鍼灸がリウマチに有効とされる主な理由:
- 炎症反応の抑制:
鍼刺激によって、副腎皮質ホルモンや抗炎症性サイトカインの分泌が促され、炎症を抑える働きがあります。 - 鎮痛作用:
鍼によりエンドルフィンなどの内因性オピオイドが分泌され、痛みを感じにくくする作用があります。 - 血流の改善と可動域の向上:
関節周辺の血行を促進し、こわばりの緩和や動作の改善に役立ちます。 - 自律神経の調整:
ストレスや過緊張による自律神経の乱れを整え、リウマチの増悪要因を軽減します。
科学的エビデンス:鍼灸の効果を示す研究結果
東京大学病院リハビリテーション科の研究
日本を代表する医療機関である東京大学病院では、リウマチ患者に対して西洋医学的治療(薬)と鍼灸治療を併用した臨床研究を実施。
その結果、以下のような改善が報告されました。
- 疼痛スケール(VAS)において有意な減少
- 朝のこわばり時間の短縮
- 睡眠の質や日常動作の改善
- ステロイド薬の使用量が減少傾向に
この研究により、標準治療に鍼灸を組み合わせることで、QOLが向上する可能性が科学的に支持されています。
WHO(世界保健機関)の見解
WHOも鍼灸の臨床的有効性に注目しており、リウマチを含む複数の疾患に対して**「鍼灸治療の有効性が報告されている」と明記**しています。
「鍼灸×薬」の統合治療が鍵
「薬だけ」「自然療法だけ」ではなく、“いいとこ取り”の統合的アプローチこそが、これからの時代の医療スタイルです。
西洋医学は即効性や診断の正確性に優れていますが、副作用や限界もあります。
一方、東洋医学の鍼灸は副作用が少なく、体質改善や慢性症状の緩和に優れています。
この両者を補完的に活用することで、より効果的で持続的なリウマチ治療が可能となります。

実際の現場からの声
当院では、長年リウマチに悩む患者さんに対して鍼灸治療を提供しており、以下のような声をいただいています。
- 「朝の手のこわばりが楽になった」
- 「薬の量が減ってきた」
- 「動きやすくなり、買い物に行けるようになった」
- 「体の疲れが取れやすくなり、気分も前向きになった」
症状の程度や個人差はありますが、多くの方が「治療の選択肢が広がったこと」に安心感を持っておられます。
まとめ:鍼灸はエビデンスに基づく選択肢です
かつては「気休め」「迷信」と思われがちだった鍼灸治療ですが、現代では医学的な裏付けをもとに、実際の医療現場でも活用される存在へと進化しています。
リウマチ治療に悩んでいる方へ。
「薬だけでは足りない」「できることは全部やりたい」とお考えであれば、鍼灸という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?
当院では、患者さんの状態を丁寧に把握しながら、医師の診断内容もふまえて、安全かつ効果的な鍼灸治療を提供しています。
どうぞお気軽にご相談ください。
この記事の参考文献
1. Clinical Efficacy of Acupuncture for the Treatment of Rheumatoid Arthritis
- 掲載誌:Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine
- https://link.springer.com/article/10.1007/s10165-006-0521-3
2. Multi-Center Randomized Controlled Trial of Acupuncture and Moxibustion Treatment in Rheumatoid Arthritis
- 掲載誌:The Journal of the Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki1962/68/4/68_4_193/_article
3. Comparison of Efficacy of Acupuncture-Related Therapy in the Treatment of Rheumatoid Arthritis: A Network Meta-Analysis
- 掲載誌:Frontiers in Immunology